2020/05/31(日)ウゴウゴのタケノコ
例えば「つまさきを使え」「足の親指で最後まで蹴れ」という人がいる。
逆の意見もある。
スネの骨に重心が乗らない箇所を使っても力は地面に伝わらない。腱に負荷がかかり怪我の原因になるので良くない。という人がいる。
スネから下はただの道具であり、意図的に力を入れるべきではない。なぜなら、大殿筋やハムストリングスで込められる力に比べてとても小さなものであり、使ったところでさほどの効果はない。という人がいる。
正解はどっちだろう。
上は接骨院ランチューバーから発信されたもの。
下は五輪メダリストや世界レベルの中距離走者が語ったもの。
大抵の場合、間違ったことをいう人たちは、ロクに走っていない。
走ってないというか、ランナーとして理屈が必要な次元まで追い込んだ実績がない。
某双子のランチューバーが言っていた「キロ4てジョグだよね」という言葉。
42.195km をジョグペースだから楽と言ってしまうのは乱暴なんだけど、速めの1時間ジョグで 15km 走る(≒ 4:00/km)、という事であれば中学生の県大会出場レベルの子ならできる。これは平日の練習で他のメニューと組み合わせてこなせる程度の強度。
競技者としての視座でみたら、ジョグのペースのまま距離を伸ばすだけでフルマラソンを 2:48.00 以内で走れることになる。
市民ランナーのサブスリーは素晴らしい実績。
ただ、それで飯を食おうとしたときにサブスリー程度では信用するに足りない。全くお話にならない。
「理屈がポンコツでも走れますよね」という事になる。字面で得た知識の裏付けを取るだけの能力を持っていない。つまり裏付けはない。
走れるペースで挑戦すればいいんです、と教える事と、自分自身がそのペースでしか走れない事とは別。
教え子でもなんでもない、ただ見かけた人に対して、つま先が前を向いているからつま先を下げろ、ととんでもないイチャモンを付ける人もいる。
彼の足首、足底周りが故障していないか心配だ。
Youtube や、パーソナルランニングトレーナーの界隈が、無法地帯になってきていて怖い。
解決方法は、目線を広げる事、書籍の情報を取り入れること(対価という責任を背負った情報を取り入れるという事)。無料の情報ばかりでは嘘を嘘と見抜ける人でないと難しい。
例えば目線を広げてスプリントドリルと重ねてみる。
短距離の方が瞬発的な負荷が大きいので、短距離のタブーは長距離でもタブーのはず。
短距離の世界でフラット着地が正解であるなら、長距離の世界でもフラット着地が正解。
短距離の世界でつま先に荷重していけないのであれば、長距離の世界でもつま先に荷重してはいけない。
短距離の世界で膝下をリーチアウトしてはいけないならば、長距離の世界でもリーチアウトしてはいけない。
短距離の世界でつま先が下を向く瞬間があってはいけないならば、長距離の世界でもつま先が下を向いてはいけない。
速く足を回すために着地を叩きつける必要がある、は足を叩きつけなければいけない、でのではない。もちろん長距離でも関節をロックして振り下ろす事はある。「股関節の緊張」「大転子による反発」「短い接地時間」というのはそういう事じゃないだろうか。
「腕振りを縦回転に近づけて強い着地をする」のも長距離を走る中でペースに変化を付ける際に有効な動き。
「いけない」事と「したほうがいい」事をちゃんと区別して噛み砕いて理解した方が、理屈が不要な世界でグダグダ言ってるヤツの言うことより役に立つ。