2011/04/29(金)弦のテンションって何よ

「弦のテンション」でよく判ってなかった事。

ポストの高さが変わるとテンションが変わるので音が変わる。
そう言われてる。ロックペグだと巻き数が減るので、その分弦がポストを離れる位置が高くなってテンションが下がる、と。

不思議だったのが、弦が同じ場合、テンションが変わったら音程が変わるはずじゃん、音程が同じならテンションは変わらないじゃん、と思ってて頭にはてなが浮かんでた。
テンション==張力==弦に水平方向に掛かる力 でしょ?


ギターで「テンション」と言う場合には異なる3通りの意味があるようだ。

一つは上で言った弦を水平方向に引っ張る力。張力。これは音程を合わせれば同じ弦なら同じになるのは当然。これは正しく「テンション」
二つ目は触感上の弦の硬さ。チューニングを変えて張力が変われば当然変わるけど、弦の素材によっても、同じ音程にするために必要な張力は変わる。これは張力の変化による副次的なもの。

三つ目。今回の主役で、ペグやボールエンドに掛かる力。弦を水平に引っ張る力と、ナットやブリッジサドルに押し付ける力等の、弦に掛かる力を全部合わせたもの。これがポストの高さやヘッドの角度で語られる「テンション」の正体。ポストが低くなればナットに掛かる圧力が増すし、ブリッジの形によってサドルに掛かる圧力が変わる。

押し付ける力は、中学校で習ったベクトルの話。力点-支点-支点-力点という構造では、力点が下に移動するほど支点を下に押し付ける力が発生する。その分水平方向の力は減るので、これを同じくして音程を保つためには、トータルでの力を大きくする必要がある。

弦に掛かる水平方向の力である物理用語の「張力」の意味の「テンション」と、力点で掛ける一般用語の「引っ張る力」の意味の「テンション」がごっちゃになってた。
でもここで本当に指したいのは支点に掛かる「押し付ける力」なので力点で掛ける「テンション」で呼んじゃうのはおかしいだろ、と言い訳をしたい。


下に押し付ける力でどのくらい音が変わるか、っていうと音叉を机とかの木の板に押し付けてみるとわかる。
板に触れさせた場合より、押し付けた場合のほうが音が大きくなる。押し付ける力を強くしていくと音量も音質も変わるし、かなり強く押し付けるまで変化が続く。弦とボディでも同じこと。

という事で、「テンションによって音が変わる」というのはボディの共鳴度合いが変化するので音が変わる、という事で、張力や触感上の硬さが変わるわけではない。


別に深く考えるつもりはなかったんだけど、ロックペグの話を探してて見つけた
http://ameblo.jp/combat-guitars/entry-10183446107.html
この話が嘘くさいなぁと。ギター屋さんなので信頼できるのかもしれないけど、どうにも理論が繋がらないなぁ、と思ったので考えた。

リンクしてる以前のエントリでは弦をボディに押し付ける力に言及してたのに、なぜ新しいエントリで振幅とか言い出しちゃうのか...同じ力で弾く限りは弦の質量を変えないと変わらないでしょうに。