2011/06/20(月)アコギ弾き比べ再び、そして...
入院中寂しいので、ギターを探しに狭い範囲で旅に出た。
結論は、ハルタデさんはデッドポイントがあってもやっぱり素晴らしい。
以下、長い駄文。
Furchが気になるので、恵比寿のドルフィンギターズへ。ここにはS-92Rの在庫がある事も確認済みなので、それを触ってみるのも目的の一つ。
触ったら欲しくなっちゃうよな、と思って見るだけにしていたけど、「カクカクシカジカダイハツムーヴでギターを見に来ました」という話から、色々と聞かせてもらった。
- デッドポイントが存在する個体はある。これはしょうがない
- よく響くもの程デッドポイントはある
- S-92はシルクフラット塗装なので、余計にシビアにデッドポイントが出るのだろう
- 塗装するとトップ板の振動をスポイルする分デッドポイントも目立たないよ
- デッドポイントの音程を鳴らすときは実音を多めに出すようにピッキングを調節するとか、折り合いを付けて付き合っていくしかない
- 治すっていっても、完成品を治すのはほぼ無理
- ブレーシングを大きくいじるにはトップとサイドを剥がして、ブレーシングも剥がして、大手術になる
- どこをどうすれば治るといえるものではないので、試行錯誤した末に多分治らない
- メーカーはデッドポイントがあるものと認識して製品を売っているので、これが受け入れられないなら手放すしかない
- 高級な手工ギターではフレットの打ち方や指板の微妙な加工で、デッドポイントどころか音程によるバラつきすらなく均等に響くように調整されているのもあるよ
高級手工ギターも弾かせてもらった。優等生って感じ。均等にするっていうのは秀でてる所を潰すって事にもなるので、特にピン!と来るものはない。あと...見た目がダサい...。
S-92Rを弾いてみたら、こいつはF#に派手なデッドポイントがある。全然サスティンが無い感じ。とはいえ、聞いてる人にはやっぱりわからないのか、店員さんが自分で弾いて改めて驚いてた。「これは...ッッ」って感じ。「でもしょうがないですよ」との事。
Furchも触らせてもらう。まずは普通にスプルース&ローズなモデル。うん、いい音。MorrisのS的なイメージを持ってたけど、もっと全然ガッチリ作ってある。デッドポイントはある事はわかるけど問題ないレベル。トップコートを噴いてあるとこれくらいになるのが普通らしい。
シダー&マホガニーなモデルも弾かせてもらう。おぉ、聴き慣れた音だ...これがいいわ...。
「シダーマホが気に入った人って、そこに戻っちゃうんですよね~」
「D-18を弾いてた人がD-28とか持ってみても、結局D-18に戻るんですよ」
との事。非常にわかる。
ただ、どうしてもハルタデさんと比べるとトップコートが噴いてあるギターはトップコートの音がする。一枚膜が貼ってる感じ。硬い感じ。なんか、"ピィィィーン"ていう要らない音が混ざってる感じ。
S-92を買い換えるとしたら、という方向で話をしてみる。
「買取りだと 2~3万円ですけど、下取りなら7万程度出しますよ」
マジかッッ!グラッときた。しかし、あなたの話のせいで俺はハルタデさんをさらに好きになってしまっている。もしFurchを持つとしてもハルタデさんは手放さない。
Furchは見た目が素晴らしくカッコイイ。画像で見ると分らないけど、現物はかなりカッコイイ。べっ甲素材が各所に使われてるんだけど、これの使いどころが完璧。全然派手じゃなく地味な印象なんだけど、ニクい感じでカッコイイ。東ヨーロッパっぽい、質実剛健さみたいなものが現れてる。ヘッドの黒が濃い突き板にべっ甲のペグ、シンプルなロゴの組み合わせは、地味なのにサラッと色気を醸しだす絶妙なデザイン。
と、後ろ髪を引かれながらお店を後にした。
高級ギターをメインに扱う中規模店の店長さんは知識、情報量が豊富で、しかも経験に裏付けられてる。今は別の楽器を使う程音楽の幅を広げる予定がないけど、そんな機会ができたらその時は恵比寿まで足を運んでみようと思う。
日を改めて、某所のFurch取り扱い店へ。Nagaギター、Lowden、Furch等を弾いてみた。
Nagaギターって高いのかと思ってたんだけど、安い。塗装が薄いのと、ナットがスキャロップ加工してあったりで期待させる見た目。音は、なんかイマイチだった...。あんまりトップが揺れてない感じで合板みたいな音。
Lowdenはいい音。スプルースの音って感じ。でもなんか音が硬い、3弦とかちょっとうるさい成分が混ざってるような...?
Furch。恵比寿でも弾いた S23-CMCT。...あれ?ピンと来ない。なんか音が硬いような...?ヘンな共振が出てるような...?要らないピィィーンがめちゃ出てる。これは弦の張り方が...サドルに付いた溝とずれた所に弦が載ってる。アコギってサドルにかなり力が掛かるので、これだと溝が壊れちゃうんじゃない?指板とかブリッジのエボニーも乾いて白ばんでる...。
その他のFurchも、なんか音が硬い。うーん...。この店で弾いた感覚は参考にならないかもしれない。
割と買う覚悟を決めていたので、なんかガッカリ。
その後、ハルタデさんを預けているお店に電話してみる。デッドポイントが目立つ機種である事や修正がほぼ無理である事に納得したので、修理はキャンセルして欲しい、と伝える。
まだメーカーに送っておらず店にある、というので引取りに行くことにした。
ちなみに今回は店内の工房の担当者と話をしているので、前回のような疲れる話はなくすんなり理解してもらえた。「戻ってきた時点で、引き渡す前に私がチェックを入れます」という言葉はとても心強かった。
んで、ハルタデさんが短い入院を経て帰ってきた。
しばらく離れてたせいで、"いい音"は妄想が膨らんじゃってただけで、実は大したことなかったのかも?と思ったけどやっぱりいい音だった。
デッドポイントも込みで受け入れよう。