2011/01/03(月)伝える力

アコギにデッドスポットがあったので、保証の範囲でメンテをお願いしてきた。
症状は、G の音が詰まる、というもの。

最初は、
  • 6弦3フレットのレスポンスが凄く遅い 16分音符一個分くらい遅い
  • 4弦5フレットが詰まる
という事に気づいて、6弦は単純に胴鳴りに必要な振動が大きいから、今後鳴っていけば改善されるのかな、と思ってた。4弦5フレットはなんだろ?って感じ。

ふと、全部 G の音だな、と気づいて各ポジションの G を鳴らしてみると、どこの G も詰まる。工作精度が低いとか、作りに不具合があって鳴らない、っていうのは許されない価格のギターなので、これで得心がいった。固有振動数の影響か。


というわけで、買ったお店に電話して、メーカー修理に出してもらうことにした。
お店に持っていって
「デッドスポットがあって、どのポジションでも G の鳴りが悪いんです。特に、6弦3フレットと 4弦5フレットをよく使うので気になります」
「(4弦5フレットを鳴らし)あ~、なるほど音が詰まってる感じですね」
「いや、今はチューニング合ってないんで普通に鳴ると思いますよ?Gの音が詰まるんです」
「わかりました。(伝票に、"6,4 デッドスポット" と書き込む)」
「.oO(6弦、4弦に限った話じゃないし、それに、その書き方だと後になって読んだら意味わかんなくね? なんか、説明めんどくさいな)」

大丈夫か。
6弦4弦は例えとして出しだけで、5弦10フレも 3弦開放だって鳴らないんだぞ?
って思ったけど、突っ込まずじまい。

伝える力って、説明する力もそうだけど、相手の反応を汲む力とか、追加で噛み砕いた説明をする労力を払う気持ちとか、色々あるなぁ。



まー、この人のノリから察するに、この人にちゃんと伝える必要はないのかな、と。メーカーに送られたらモリダイラの人がちゃんとチェックしてくれるんだろ、という思いもあって黙ってた。

あれこれ根掘り葉掘り聞き出してくれるギター工房弦の対応に慣れて、こっちから伝えるっていう心構えがなくなってた。
ESPやリボレでの苦い体験を思い出せ、俺。


苦い体験を思い出したら、ちゃんと治って帰ってくるのか不安になってきた...。ダメ押しするくらい説明してくるべきだったかなぁ。

2010/12/26(日)アコースティックギター 弾き比べ

Takamine NPT-012BS (中古)
Morris S-92III
Ovation Applause
Ovation Celebrity

を弾いてきた。
アコギの繊細さとか、何をもっていい音というのかはよくわからないので、胴鳴りするかどうか、と直感でまとめておく。
あと、生音を聴いての評価なのでラインの音とかはちとわからないけど、ピエゾは評価する必要もあるまい、というスタンス。

Takamine NPT012BS:
中古で¥58,000。85年頃のギターだそう。長淵剛も使ってたんだとか。
エレアコだけど、構造は完全にアコギな上に、ボディの厚みがあるので生鳴りがすごい。レスポンスもいい。繊細というよりは、パワフルな感じ。てきとーにストロークすると暴れる気もする。
かき鳴らす系の弾き語りで、ストロークの強さの幅が広い人はこういう、ボディの容積が大きくて、良く胴鳴りするギターを使ってる。ジャンボとか、ドレッドノートとか言われるようなもの。このギターは形はグランド・オーディトリウムだけど、厚みを増やして容積を稼いである。
この手のギターは強弱をつけてかき鳴らすとすっごい気持ちいい。が、住宅地では弾けないくらい音がデカい。
プリアンプが当時のものから交換されていて、チューナーがついているので便利そうだった。

Morris S-92III:
¥168,000。南沢大介さんのギターを元にした普及モデル。指弾きするための設計になっている。
他の Sシリーズはピックアップ搭載だけど、このモデルは完全にアコースティックオンリー。
ボディサイズはグランド・オーディトリウム(いわゆるフォークギター、小さめ)だけど、作りがいいのか、上の Takamine 程は行かないけど、近いくらい鳴る。よく鳴るので、指弾き向けモデルとはいえストロークしてもいい感じで、綺麗に鳴る感じ。強く弾いても、さすがに上の Takamine ほどのパワーのある音は出ない。
単音で弾いた時の音はいわずもがな。高音弦も張りがあっていい。各弦の音のバランスは...要調整?
新品だからか 6弦のレスポンスが悪かった。弾き込むと変わるのかな?
値段の割りには突っ込みどころが多いな。しかもフィンガーピッキングで大事なところばかり(笑)

Ovation Applause:
¥50,000 くらい。Ovation の最廉価モデル。中国製。
鳴らねぇっっっっ。
どーしても低価格でもライン出力が欲しいっていうならとにかく、アコギを買うならライン出力をあきらめて同じ価格帯で鳴るものを探すか、エレアコでも上の中古の Takamine みたいなのを探すべき。
これを新品価格で買うヤツは情弱といわれてもしょうがないってレベル。ギターと同じ演奏方法ができる他の何かっつぅ感じ。

Ovation Celebrity:
¥100,000 弱。Ovation の普及帯モデルなのかな?韓国製。
びっくり、ちゃんと胴鳴りする。音も悪くない。家弾き専用に音が小さめなギターとして考えたらちょうどいい具合に鳴る。
とはいえ¥100,000 も出したらもっといいアコギが買える訳で...。家弾き専用ならもっと安いのを探せばいいわけで...。


Ovation の adamas (¥300,000↑)とかは怖くて触れなかったんだぜ。
とはいえ、生鳴りが欲しいなら Ovation は対象外なわけで、adamas が鳴るとしても同じ価格帯のアコギならもっといい音が出るであろうわけで。ピエゾの分高い、といわれてもピエゾからアコギの音は出ないわけで。
そもそも、adamas なんてそんなモン買えないわけで。

2010/12/26(日)アコースティックギター

アコギを買ったので、色々調べたり考えたり。

弦を緩めるか否か、という結構いろんなところで引き合いに出される疑問がある。

アコギの弦は緩めなければいけない

長々と議論している場で主題になっているのが、弦のテンションによってネックが反る、という理由。弦を張ったままを想定して作られているので緩めれば逆反りになる、という意見と、張ったままでは弦の張力により順反りになる、という意見。
これは、トラスロッドが入っていれば強度は足りているし、調整も可能なので問題ないと思う。

本当の問題は、アコギはセンターブロックが入っていないので弦の張力によってボディのトップが浮くという点。
これを主題として考えたら、弾かないときは弦を緩めるという答えしか出ない。


で、たまにエレキギターの弦を緩めるかどうか、っていう議論もみるけど、これは緩めないんじゃないかな。
上記の通り、ネックの反りに対する影響なんて微かなので、面倒をかけてまで緩める理由が無い。
セミアコはセンターブロックが入っているし、フルアコは大抵トラピーズ型のテイルピースが使われているのでトップ浮きを気にする必要は無い。フルアコで逆にトップ落ちする場合も弦を緩めないといけないだろうけど。 


で、アコギの弦を緩めるとして、次に問題になるのは 3弦が切れるという現象。
これは、3弦は細くて弱いので、緩めたり締めたりしているとペグに巻かれている部分が金属疲労で切れやすくなるというもの。1,2弦はテンションが低いので問題が顕在化せず、4~6弦は太くて強度があるのでやっぱり問題は顕在化しない。
って楽器屋さんで聞いた。

これの対処は、3弦だけは緩めないというもの。単純にこれをやるとネックがねじれたりしそうなので、4弦も緩めないとか、いっそ弦代がかかることを覚悟で 3弦も緩めるとか考えたほうがよさそう。


と、考えた末に、今は3弦だけ緩めない状態で置いてある。

2010/10/17(日)ヘリウム声

mac に最初から入ってる GarageBand のヴォーカルエフェクトに、helium breath っていうのがあった。
ヘリウムガスを吸った時の声って事は宇宙人っぽい声になるのか~、と思って試してみたら、面白過ぎた。

誰だよwwwおまえwww

2010/10/12(火)君の顔が好きだ

メンテに出していたギターが帰ってきた。
アコースティックなギターを買ってみたのは、このギターと一ヶ月程お別れするからだったりする。

ネックを交換したときに、元のネックより少し厚かった。ネックが厚いので、ブリッジ側の弦高を限界まで上げないといけなくて、オクターブ調整ネジが弦に干渉してしまう状態だったので、これを改善すべく調整してもらった。

最初は、ネックを削って薄くしましょう、と言われた。ネックのジョイント部分の厚みを削ると、それに伴ってネックの根元の平らな部分が大きくなってしまうので、これを解消する為にネックシェイプの削り直しが必要だ。塗装もやり直しになる。
ネックのシェイプを変える、というのは不安だ。それに、ギターをいじる際に一番値が張るのがこの塗装という行程なので、塗装が入ると懐が痛い。

と、工房の人と話しながら「塗装代は高いな〜」とケチな事を考えていたら、ひらめいた。ひらめいたままに、脳直垂れ流しで言ってみた。

「ボディの方でネックポケットのザグリを深くしちゃったらどうですかね?」

これならネックを加工しないで済むので、演奏性に対する変化は皆無だし、塗装という値の張る作業も必要としない。コストも少なく、演奏性に対する懸念もない。我ながら名案だと自画自賛した。

で、見積もってもらったら、
「ネックポケットのザグリを加工する場合、個別に金型を作らないといけないのでやっぱり工賃はある程度行っちゃいます」
だそうで...。
フェンダーとかの数が出ている既製品だったら既存の金型を使って工賃を押さえたり出来るの?と聞いてみたが、量産品でも個体差があるのでやっぱり逐一金型を作って作業する事になるそうだ。

ネックの形状、塗装の変化という、ギターで一番デリケートな部分をいじる事を回避できることから、ボディ側のザグリを深くする作業でお願いした。
素人が思いつきで言ってみた事を素直に検討して受け入れてくれるこの工房、ナイスだ。

ネックを交換した時にネックの厚みが違っていたり、ジョイントネジの位置が違っていたりで一筋縄で行かなかった事があって、仕上がりを待つ間もキチンとした状態になるのかが不安だった。ひょっとしたら仕上がってすぐに手放してしまうんじゃないかとも考えていた。既製品で安いものにでも買い替えてしまった方がいいんじゃないかと。

そして帰って来た仕上がりは...完璧!ばっちりだ。
工房の人に、「この楽器はイイですか」と聞かれたが、イイ。何がって、見た目が。このボディがカッコいいからお金を掛けて手を加えてまで使うのだ。君の顔が好きだ。性格なんてものは僕の頭で勝手に作り上げりゃぁいい。

素晴らしい仕事をありがとう、工房の人。
このギターを一生持つと思う。


というわけで、東京新大塚の ギター工房弦
フロントに出て来るのが若い人でつたない事もあるけれど、こちらの要望を真剣に考えてくれるいい工房です。
ただ、いい工房なだけに大忙しらしくて、今だと納期は一月以上掛かるみたい。